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マジック(手品)とパズルは共通点が非常に多いのだ。それに加えてミステリー(推理小説)も横に並ぶ。ミステリー作家、パズル作家の中にはマジック愛好家が非常に多い。

マジックには必ずトリックがある。たとえ仕掛けがなくてもトリックはあるのだ。例えば仕掛けが一切ないコインを使っても(客から借りても)テクニシャンが演技を行えば奇跡が起こる。そこに仕掛けを併用すればさらに凄い現象が行える。ギガント凄ス。

ミステリー(小説)には必ずトリックがある。ただ、範囲は広く必ずしも殺人事件が起こる必要はないし、以前「最初のミステリー小説」でも書いたように、「謎解き」や「推理」の過程が含まれていれば何でもミステリーの属性になっている(ように見える)。読者はこの“トリックの謎解き”を楽しんでいるわけだ。意外性があるほどおもしろい。“意外な犯人”これがあるから「うわっ、そうだったのかヤラレター」と騙された快感があるのである。

マジックを見て驚く快感とよく似ているのだ。マジックとは騙されて楽しむ芸術なのだ。マジックとミステリーの決定的な違いは、マジックでは“ネタバラシ”をしないことである。一方ミステリーで“ネタバラシ”(解決に至る過程)がなければ、それは単なる事件の描写だけであり、そんな本誰が買うものか。

パズルには必ずトリックがある。これも完全に“謎解き”である。ミステリー(小説)では頭の中で謎(トリック)を解いてゆくが、パズルの場合必ずしも問題を頭で解くだけではなく、物(平面パズル・立体パズル)も存在する。“紐のパズル”や“知恵の輪”などがいい例だ。この手の立体パズルは必ずしも論理的に解かなくても試行錯誤を重ねていると偶然解けちゃうことがある意外性を持つ。

このように三者には共通点がある。マジックで使われるネタ、あるいは錯覚、パズルの仕掛けやカラクリを応用したミステリー作品は数多い。実際、謎解きミステリーのことを“パズル”と呼ぶことがある。

有栖川有栖の『孤島パズル』(創元推理文庫)など、タイトルがそのまんまパズルだ。そのまんま東は東国原だ。いや、この『孤島パズル』はよくできているので王道的なミステリーとして初心者にオススメだ。登場人物も少なく、明かされてゆく謎の解明が論理的で分かりやすいのだ。※現在マンガ版(コミックス)もあるようだ。

さて、泡坂妻夫などはマジック、作家、両方の分野においてプロである。彼のマジック関連の本(書店では販売されていないものもある)ではペンネームではなく、本名の厚川昌男が使われることがある。

泡坂妻夫の“しあわせの書”(新潮社文庫)。実はコレには文庫本自体に仕掛けが施してある。メンタル・マジックとして使えるのだ。

普通この手のマジックをするには専用道具を使う(あるいは自分で加工して作る)。つまり客から見ると胡散臭いのだ。しかしこの文庫本は書店で買える“普通の文庫本”である。この事実だけで演じる前に変な疑惑を客(友達でよい)に抱かせず進められる。ネタバラシになるので詳細は触れないが、コレは持っていて損はない。

あと近年では、吉村達也という、主にミステリーを書いている作家が“マジックの心理トリック”(角川oneテーマ21)という本を出している。これは決してこういうタイトルの小説ではなくて、マジックの専門書である。手品、奇術の歴史のほかクロースアップ・マジック(特にカード)を中心に、マジックの本質とは? なぜ騙されるのか? といったことを分析し述べられている。

※マジックに用いるカードのことは別項「カード・マジックに用いるカード」で詳しく説明します。

nob最後に、芦ヶ原伸之(2004年、他界)を挙げる。氏は世界的なパズル収集家、作家であり、マジック関連の著書も出しておられた。古いところでは『ミステリー手品』の中にいくつか「おおっ」というのがあった。実に独創的。

一番楽しく読んだのは『一生遊べる奇想天外パズル』で、口絵に常識ではありえない現象の写真がある。単なるパズル問題集ではなく、エッセイが豊富で文章が非常に楽しいのだ。比較的新しいところでは『脳力パズル』(PHP研究所)がある。これも単なるパズル問題集ではなく、エッセイが豊富、マジックに使える優秀なネタも載っている。また氏はブームにもなった“キャストパズル”(書店とかにもよくぶら下がっている金属製のゴツイ知恵の輪)の監修者である。

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